現代幾何学への招待

 

 この本はいわば, 遊園地の案内マップみたいな物です. この場所にはこんなアトラクションがあって値段はいくらで, 待ち時間はどのくらいかを書いてある感じですね. 書いてある定理の内容を深く理解するという数学書本来の読み方より, 天才たちが見つけた定理を味わうぐらいの気持ちで読むのが吉ですね. 他の文献を調べつつ証明をつけようと思ったらいくら時間があっても足りないです(笑).  

 数学専攻の学部生で自分の専攻する分野を悩んでいる方には, うってつけの本なのではないでしょうか. 

 自分が面白いと思ったのは5章の「ポアンカレ予想と幾何予想」ですね. ポアンカレ予想というのは, 

        単連結な3次元閉多様体は3次元球面に同相である.

という主張ですね. これは, 1904年にフランスの数学者アンリ・ポアンカレによって提出されたもので, ミレニアム懸賞問題(アメリカのクレイ数学研究所によって2000年に発表された100万ドルの懸賞金がかけられている7つの問題)に指定されていました. この予想は提出された約100年後の2003年に, ロシアの数学者グリゴリー・ペレルマンによって証明が発表されました. 証明されるまでの100年, 様々な天才がこの問題に挑み, 証明できぬまま人生を終えたことを考えると, この予想を正しいものとして眺めることができる僕らは幸せ者なのではないかと思います. ペレルマンに感謝ですね. 

 ポアンカレ予想を, 数学をしていない人にもなんとなくわかるように説明をすると, 「3次元の端がある滑らかな曲面は, 3次元球面に変形できる」. ってことなんですが, 3次元の曲面とか, 3次元球面とかイメージができないと思います. 実際僕も怪しいです(笑).3次元球面とか, 4次元空間内の球面ですし, 一体4次元てなんぞやって感じですよね. これについては, やる気が出たら詳しく纏めようかなと思ってます. 

 僕は, こういった偉大なものを知り, 思いを馳せるのが好きです.